鍼灸であって鍼灸でない
8年前から訪問鍼灸を続けていただいているかたがいます。
元々認知症があったのですが、この8年でだいぶ進みました。
98歳です。
この方のお宅にはケアマネージャーや医者や訪問看護やデイサービスの送迎スッタフなど多くの方々が出入りします。
自慢なんですが、それら多くの方々の中で唯一名前を覚えてくれているのが僕です。
ご家族もびっくりです。
認知症の症状の一つに暴力的になるということがあります。
この方の場合、いつも暴力的なわけではなく、普段は果てしなくかわいいご老人です。僕にとっては。
どんな時に暴力的になるのか。
突然なっています。
ここからは推測ですが、不安感からではないでしょうか。何かしらの不快感、例えばどこかが痛いとか暑いとかオムツが痒いとか。または認知症による記憶の混乱など。これらが不安を感じさせるのではないでしょうか。
認知症による記憶の混乱とは、両親が亡くなった記憶が抜け落ちなぜ今ここにいないのか不安になる、甥っ子が成人した記憶が抜け落ちあの小さくてかわいい甥っ子がなぜ今ここにいないのか理解できないなどです。
当然今ここにいるべき者がいなければ不安になります。
その不安がきっかけで暴れる、暴力的になる。のではないかと考えます。
そう考えると、僕には明確な原因があって暴力的になっているようにみえるのです。
だからといって、両親や甥っ子はもういないという現実を理解してもらおうとしてもそれを理解することはできません。
不安なんです、今。
だから僕にできることはその不安に寄り添うことなんです。
何かを理解させよう、落ち着けようなどではなく、不安なその方を受け入れる、不安なその方を理解しようとする。
鍼灸じゃないんです。
現在世の中には数多くの素晴らしいサービスが存在します。
それら数多くの素晴らしいサービスは利用者のためにあります。
サービスを提供する側のためにあるのではありません。
利用者のためにサービスを提供しようとすれば自ずとそのサービスの質が向上するのではないでしょうか。
お互いがお互いを理解するきっかけになるのではないでしょうか。
先の参議院選挙でALS(筋萎縮性側索硬化症)の船後靖彦さん重度障害者の木村英子さんが当選し何かと話題になっています。
彼らが当選した大きな意味である、多くの人が多くの人を理解する。自分の中にある無意識の差別意識に気づく。前述した誰のためのサービスか。さらには、病気や障害や貧困などを超えて、全ての人は生きているだけで価値がある。誰もが損害を受けずに誰もが犠牲を強いられることなく誰もが幸せを感じる。そのようなビジョンを創造させてくれます。
彼らは愛を日本国民に思い出させてくれるきっかけを与えてくれるために世に出てきてくれたのではないでしょうか。
鍼灸=愛。そうあれるよう心がけています。
読んでいただきありがとうございました。
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